第3日目も同じに11時から張り込みを開始する。
この日は16時前に10歳位の女の子と7歳位の男を連れた母親が彼女宅を訪問。
いずれもバイ降りケースを抱えており、レッスン日と想定16時過ぎには調査を打ち切ったのです。
そして第4日目も同様に調査を開始する。
すると13時前に1人で外出、最寄り駅から電車で移動、都心のターミナル駅に行き、別路線に乗り換え、やはり都心の繁華街に行ったのです。
ただ驚いたのは電車で移動中にスマホを2台取り出し、それぞれ操作しているのです。
依頼人である彼からもスマホの2台持ちは聞いていませんでした。
繁華街の駅で降り、歩いて5分程にある小さな8階建て雑居ビルに入り、エレベーターで4階に行ったのです。
その雑居ビルには各階2部屋があり、4階の2部屋にはいずれも会社名が案内板には表示されていましたが会社名からはなんの会社からは判断がつきません。
すぐに現地の調査員もスマホで確認したり、探偵事務所でもパソコンで検索した結果、402号室はコンピューター関連の会社らしき事は確認できましたが401号室のもう1社については検索しても会社名が出てきません。
事務所で登記関係を調べてみるも当該所在地には該当がないという状況です。
まして小さなビルなので一緒にエレベーターに乗ることも出来ず、1階で待機しているとものの15分程で彼女が出てきました。
ちょっと大きめのショルダーバックを抱えています。
もちろん家から出たときには所持していませんでした。
1分程歩くと路地にワゴン車が停車しており、その車の後部座席に彼女が乗り込んだのです。
後部座席の窓にはスモークがかかっており、中が良く確認できません。
探偵も後続のタクシーを拾おうと試みるのですが路地のため、タクシーが全くいません。
瞬く間に彼女を乗せた車は探偵の視界から消えてしまったのです。
当然、この出来事を依頼人である彼氏に報告するとこの雑居ビルの4階にある会社らしき処が個人的な彼女の練習場なのか、家族の関係する処なのか、音大時代の友人関係なのかも全く知らず、そのような場所に彼女と一緒に行ったことがないという。
当然、彼氏の知らない知り合いもいるだろうから何かのお使いかもしれないと言うことで彼と相談した結果、そのビル前でしばらく待機する事にしたのです。
尚、彼氏にスマホの2台持ちの件を話すとびっくりしており、今まで2台目を持っていたことは全く見たことがなく、「本当に本当なのですか?」と驚愕していました。
とりあえずこの事実は彼女には絶対に話さないで欲しいとくれぐれも口止めして張り込みを続行したのでした。
約1時間半が経過した頃に例のショルダーバックを抱え彼女が歩いてそのビルに戻ってきたのです。
すると5分もしないうちにまたビルより出てきて、同じ路地から同じ車の後部座席に乗り込み、走り出したのです。
当然、ここではタクシーは来ませんので追尾が出来ません。
もしかすると最寄りの繁華街の駅まで送ってもらったのかもしれませんし行き先は全くわかりません。
彼氏に連絡をすると彼女のスマホの電源が切れているみたいで繋がらず、ラインも既読にならないというのです。
今度は1時間、2時間、3時間と待っていても彼女が戻ってきません。
駅まで送ってもらった可能性もあると思っていた20時過ぎにまた彼女が歩いてそのビルに帰ってきたのです。
そしてまた5分位でビルから出ると今度は最寄り駅に行き、21時には帰宅したのです。
そして彼氏には帰宅前の21時前に電話が入り、バイオリンのレッスンをしていて今夜は疲れたので帰宅したらお風呂に入って早く寝るとの事だったというのです。
ただバイオリンケースは持っておらず、大きさからいってショルダーバックに入っていたとは到底思えません。
強いて上げれば別のバイオリンをレッスン場においてある事も否めませんが確かに行動を監視していても不可解な1日でした。